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サイトを持つなら知っておくべきWeb標準の知識:Web標準手引き

この手引きの利用法

利点:
— Web標準に準じたサイトに移行することにより、御社にもたらされる具体的な利点をこの文書を通じてご理解いただけます。
用語の定義について:
技術的な単語、Web関連の専門用語なども定義しましたので、あわせてお役立てください。

Web標準とは?

日々の暮らしで接している電化製品、機械、化学製品などのほぼすべてに、標準規格というものが存在します。これと同じく、Webの世界にも無料で共通の標準規格があります。 Web標準は、Webにつながる様々なパーツ(パソコン、サーバー、携帯、インターネット冷蔵庫など)と、これらに接続される様々な機器とがうまくコミュニケーションをとれるようにするものです。 Web標準によって、誰が何を使ってインターネットにつなげても、アクセス可能なWebが実現します。

Web標準のしくみ

Web標準はインターネットの全ての面に関係しています。Web標準の対象は、ユーザエージェント、アクセシビリティ・ガイドラインのみでなく、ECMAスクリプト(JavaScript)、DOM、XML、RDFなどにまで及びます。 その一方で、Web標準という言葉がHTMLとCSSをつかさどる標準のことを指していることが多いのも事実です。 HTML(Hyper-Text Mark-up Language)とCSS(Cascading Style Sheets)は、Web制作に使用されるオーサリング(コーディングともいう)のうちの2種類。 Webを言語に見たてれば、HTMLとCSSに関するWeb標準は、書くルールを定めている文法書と言えるでしょう。

ユーザエージェント:
ブラウザー、携帯電話、インターネット冷蔵庫、目の見えないユーザによく使われるページリーダーなど。— Webを読むために使うもののこと。
Webオーサーまたは制作者:
マークアップ言語またはこれを吐き出すソフトウェアを使用して、Web用の文書を作成する人々。 — Webデザイナー、Webデベロッパーを指すことが多い。

Web標準は、制作者がページをどうマークアップしたらよいかだけでなく、ユーザエージェントに対しても、そのコーディングをどう解釈してどう表示すれば、読むことのできるWebページになるかを指示するもの。皆が同じルールブックに従うこと— Web界の介在役となることがWeb標準の存在意義と言えます。

コンテンツとプレゼンテーションの分離とは
分離の重要性

HTMLは、文書の異なる部分(ヘッドライン、文節、引用など)をどう表すべきかをユーザエージェントに対して指定します—これがコンテンツ(情報、構造)の構成にあたります。対してCSSは、文書の表示(フォント、色調など) に関する指示をユーザエージェントに対して出します —こちらがプレゼンテーション(表示スタイル)にあたります。このHTMLとCSS間の責任範囲の分担は、よく「コンテンツとプレゼンテーションの分離」、または「情報と表示スタイルの分離」と表現されます。最新のWeb標準では、コンテンツとプレゼンテーションの分離を推奨しています。

ネットワーク帯域:
通信回線を通して一定の時間内に伝達できるデータ量。 よくWebサイトが一定量のネットワーク帯域を「使う」と言う表現をするが、これは一定量のデータがWebサイトとそのユーザ間で伝達されたということ。

以前のWebページでは、ページの外観に関する情報もHTMLに組みこまれていました。HTML文書の各文章ごとに、その文章をどのように表示するかが指定されていたのです。そのため、ある企業のコーポレートカラーが変わることがあれば、誰かがその企業のサイト全ページを1行1行チェックし、色に関する部分のHTMLを変更する必要がありました。効率が良いとは言いがたい方法です。

これに対し、Webページのプレゼンテーションに関する情報が、コンテンツ部分から切り離されている場合、サイト全体のページすべてのフォント(あるいはレイアウトでさえ)の変更も、1つのCSS文書に変更を加えるのみで済みます。こういった、サイトの外観の変更の容易さが、コンテンツとプレゼンテーションの分離をパワフルなものにしています。

Web標準準拠とは

Web標準への準拠の確認方法

Web標準に準拠するということは、公開されているWeb標準仕様書のなかで、相当のものに沿ってサイトが制作されているということ。バリデータ(準拠チェッカー)と呼ばれるソフトウェアを使って、サイトの準拠度を調べることができます。バリデータはスペリングチェックと似たもので、HTMLがWeb標準で定められた文法に従って正しく書かれているか判断してくれるものです。

サイトのWeb標準準拠状況 「Web標準準拠していない」ことの意味

すべてのサイトがWeb標準に準拠しているわけではありません。Web標準から多少逸脱しているコーディングも、ユーザエージェントによってはきちんと表示するものもあります。何の問題もないかのように表示するユーザエージェントもありますが、だからといってそのサイトがWeb標準に準拠していないことにかわりはありません。これと逆に、Web標準に従わないことが重大な問題を引き起こすこともあります。こういった場合、Web標準に沿ってコーディングがされていないページは何も表示されないという状況を招きます。

全サイトがWeb標準に準拠しているわけではない理由

Web標準に準拠していないサイトがあるのには、いくつもの理由があります。
例としていくつか挙げると、例えば制作者は…

  • ページ制作時に誤ちをおかしている
  • Web標準に準拠したサイトのつくりかたを知らない
  • Web標準に準拠しないコードを吐き出すソフトウェアを使用している
  • 一定のブラウザでのみ使える機能を盛り込んだコードを使用している

Web標準の恩恵に授かるには

恩恵を受けるには、ベンダーや社員に対してWeb標準に準拠したプロダクトの要求をするだけ。要求さえすれば良いのです。標準準拠について、Web制作チームと話し合いの場を設けてみてはいかがでしょうか。

  • 現存のWebサイトを標準準拠のものに変えるには、最も良く見られている数ページから徐々に更新していき、定期的に少しずつサイト全体へと進めていくと良いでしょう。
  • 新規のWebサイトに関しては、標準準拠をはじめから計画に組み込んで制作にあたることが可能です。事前の計画と最新のWeb標準の導入により、最大限に恩恵を得られることでしょう。
  • 既に制作過程に入っているWebサイトでも、標準に準拠することは可能です—初期投資分は多少増加したとしても、長期的な費用対効果は余りあるものとなります。

御社のニーズをふまえたWeb標準準拠のサイトのため、Web制作チームとは密接な関係を保ちながら、作業を進めるのがベストです。

さらに詳細をご希望のかたは、W3C guide to buying standards-compliant Web sites(Web標準に準拠したサイト制作の発注時チェックリスト、英語原文)をご覧ください。

Web標準の制定機関

The World Wide Web Consortium (W3C)というWeb標準の制定に最も影響を持つ団体が、技術的仕様書、勧告、その他Webインフラストラクチャに関する書状をリリースしています。W3Cの他、以下のようないくつかの団体がWeb標準に貢献しています:

  • 国際標準化機構 (ISO)、
  • インターネット・エンジニアリング・タスクフォース、
  • Ecmaインターナショナル、
  • ユニコードコンソーシアム、
  • その他多数

Webデベロッパー、 ITマネージャーと話すために
より詳細な情報をご希望のかたに

より深く、専門的なWeb標準に関する文章は、本サイト上でもMACCAWS白書「Web標準で一歩先へ」からご覧いただけます。

また、ウェブスタンダード・プロジェクト (http://www.webstandards.org 概要、日本語版)とW3C (http://www.w3.org日本語翻訳集) もご参考ください。

MACCAWSキットの文書はすべて Creative Commons のライセンスに準じます。| 翻訳:清水麻遊